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IFRSの基本 連載第2回:IFRS をめぐる動き(その2)

手塚 正彦氏

有限責任監査法人トーマツ パートナー 公認会計士

今回は、我が国と欧米のIFRSを巡る最近の動きについてご紹介します。

1.IFRS を巡る我が国の動き

(1) 金融庁

金融庁は、2009年6月30日に、企業会計審議会から「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」(以下、「中間報告」)を公表し、国際会計基準のアドプション(採用)に向けた展望を示しました。現在に至るまで、米国SECが昨年11月に公表したロードマップ案を確定していない状況にもかかわらず、金融庁が米国より先にアドプションの展望を示したことは画期的であると言えるでしょう。この中間報告の公表を受けて、日本経団連、財務会計基準機構/企業会計基準委員会(ASBJ)、東京証券取引所等の関係各団体によるIFRS アドプションに向けた具体的な取組みが活発化しています。中間報告は、以下のウェブサイトから入手することができます。

http://www.fsa.go.jp/news/20/20090630-4.html
また、IFRS の任意適用に向けて、連結財務諸表規則等の整備を進めてきており、12月11日付で改正法令等を公表しました。 http://www.fsa.go.jp/news/21/sonota/20091211-7.html

(2)IFRS 対応会議

6月30日の中間報告公表後間もない7月3日に、(財)財務会計基準機構/企業会計基準委員会、(社)日本経財団体連合会(日本経団連)、日本公認会計士協会(JICPA)、㈱東京証券取引所グループ(東証)の4者を中心とする市場関係者の合意のもと、金融庁の支援を受けてIFRS対応会議が発足しました。
IFRS対応会議は、中間報告が提示したIFRS 導入にあたっての課題に取り組むことを目的として、傘下に5つの委員会を設けて活動を開始しています。IFRS 対応会議及各委員会の役割は以下のとおりとされています。

■ IFRS対応会議:IFRS導入にあたっての課題を整理し、その対応についての方針・戦略を検討する。その結果を踏まえ、各実務対応委員会に対して具体策の検討を要請するとともに、関係諸機関・団体に対して対応の実施を要請する。

■ IASB対応検討委員会:IFRSの採用を前提として重要な会計基準作りに如何に関与していくか、その戦略及び具体的な行動について検討する。

■ 教育・研修委員会:主として会計実務者を対象としたIFRSの教育・研修システムを早期に確立させ、推進する。

■ 翻訳委員会:可能な限り正確な日本語版IFRSを作成するための翻訳体制を確立する。

■ 個別財務諸表開示検討委員会:連結がメインの時代になり、単体の開示の簡略化について考え方を整理する。

■ 広報委員会:一般投資家、マネージメント層、アナリスト、メディア等の幅広い層に向けて、各関係機関が連携し広報活動を推進する。

IFRS 対応会議に関する公表文書は、以下のウェブサイトから入手することができます。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/ifrs/

(3)日本経団連

日本経団連は、任意適用企業等における円滑なIFRS導入のサポートと、不必要な導入コストの抑制の2つを目的として、下掲の企業が参加してIFRS導入準備タスクフォースを組成し、具体的な検討を開始しています。
このタスクフォースは、IFRS導入にあたって現場で直面している問題点を抽出し、参加者が共有することによって、前述の2つの目的を達成することを目指しています。
【IFRS 導入準備タスクフォース参加21社】
住友商事、伊藤忠商事、キャノン、KDDI、新日本製鐵、住友化学、ソフトバンク、東京電力、日産自動車、日本たばこ産業、野村ホールディングス、パナソニック、日立製作所、富士通、三井住友フィナンシャルグループ、三井物産、三菱重工業、三菱商事、三菱電機、三菱東京UFJ 銀行、ヤマハ発動機

(4)東証

東証は、10月30日付で「国際会計基準(IFRS)の適用に向けた上場会社アンケート調査結果の概要」を公表しました。以下のウェブサイトより、アンケート調査結果を入手することができます。4月6日に日本経団連が公表した加盟企業に対するアンケート結果と比較すると、半年の間に、IFRS導入に対する企業の意識の高まり・取組みの進展が見て取れます。
また、IFRSに関するセミナーの開催等により上場企業に対する啓蒙活動を進めるとともに、IFRSに基づく開示書類ひな型の整備にも取り組んでいるようです。

http://www.tse.or.jp/rules/seibi/ifrs_enq.pdf(東証アンケート結果)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/030enquete.pdf (日本経団連アンケート結果)
http://www.tse.or.jp/learning/academy/course/tokubetsu_kikaku/100107index.html
(東証アカデミーセミナー案内)

(5)経済産業省

以上のような金融資本市場関係者の取組み以外に、経済産業省も、経済界、特に製造業の視点に立ったIFRSのアドプションについての検討が必要との認識のもとに、2009年11月より同省の企業財務委員会において議論を開始しました。11月16日に開催された委員会では、以下のような事項が議論されました。

1.国際化への対応
2.産業競争力強化の視点の重要性
3.事務作業・コスト負担への懸念
4.税法、会社法を含めた国内制度検討の必要性、緊急性
5.中小企業を中心とした非上場企業対応
6.強制適用の時期の明確化
7.IFRS の原則主義の適用に関する懸念
8.東証等他の開示制度との関係整理の必要性
以下のウェッブサイトにおいて、議事要旨及び配付資料を入手することができますので、参考にしてください。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/k_3.html

2.IFRS を巡る欧米の動き

(1)国際会計基準審議会(IASB)の動き

IASB は、IFRS へのグローバルコンバージェンスの流れの中で、2011年6月に向けて米国財務会計基準委員会(FASB)との共同プロジェクトや日本とのコンバージェンスプロジェクトを精力的に進めています。
我が国の会計基準との関連で最近注目すべき動きは、11月12日のIFRS第9号「金融商品」の公表でしょう。これは、IAS39号「金融商品-認識及び測定」の置き換えプロジェクトの一環として、まず「分類と測定」について実施されたものです。今後、金融商品の減損、ヘッジ会計の置き換えを経て、2010年末までにIAS39号はIFRS9号によって完全に置き換えられる予定です。
IFRS9号の概要については、リンク先のトーマツウェブサイトをご覧ください。
https://www.tohmatsu.com/view/ja_JP/jp/knowledge/ifrs/iasplus/article/ 7f5b4a1d02505210VgnVCM100000ba42f00aRCRD.htm

(2)欧州の動き

欧州の動きとして注目されるのは、IFRS9号の公表後、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)がその承認を延期したことです。これによって、EU域内で、2009年末決算においてIFRS9号を早期適用することは事実上なくなったものと思われます。
EFRAGは、IFRS9号について、「IFRS第9号により提供される情報は目的適合性、信頼性、理解可能性及び比較可能性を有するというものである」という暫定的な結論を出したにもかかわらず承認を延期した理由として、「金融商品の会計処理を改善するIASBのプロジェクトからの成果物を考慮するにあたっては、より多くの時間をかけるべきである。従って、現段階では、EFRAG はIFRS 第9 号に関する承認助言を最終のものとしないことを決定した」としています。
EFRAG の決定に関しては、以下のウェブサイトをご覧ください。
https://www.tohmatsu.com/view/ja_JP/jp/knowledge/ifrs/iasplus/article/72fa4a1d02505 210VgnVCM100000ba42f00aRCRD.htm

(3)米国の動き

米国の動きとして注目されるのは、11月に、FASBが、IASBと共同で、IFRS及び米国会計基準を改善し、それらのコンバージェンスを行う誓約を再確認する声明を公表したことが挙げられるでしょう。ほぼ時を同じくしてSECもIFRS導入に向けてのロードマップの確定作業を進めるとの姿勢を示しており、今後の米国におけるアドプションに向けた動きが注目されます。
FASB とIASB の共同声明についてはリンク先をご覧ください。

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